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北海道版画協会創立50周年記念誌

  • 2009年9月2日
  • 読了時間: 5分

更新日:5 日前


版・継承と刷新


 1954年(昭和29 年)札幌在住の版画家11名によって札幌版画協会が創立されました。毎年発表活動を行ってきましたが、1959年(昭和34年)版画家の交流と活動を札幌のみならず拡大向上することを求めて全道の版画家に呼びかけました。その結果34名が集結し、北海道版画協会と改名され創立となりました。

 以来、版画芸術の啓蒙と普及に、また版画講習会の開催など版画の教育にも努めてまいりました。今日まで多くの版画家が育ち、道内外は勿論のこと国際的にも活躍している作家も少なくありません。

 2009年創立50周年を迎えるにあたり、記念事業として会員のオリジナル版画による北海道版画協会創立50周年記念版画集(限定170部)の発刊と北海道立近代美術館にて創立50周年記念展を開催致します。

 世界の版画の歴史を思うとき、日本の浮世絵版画の存在は世界が認めるところであり不動の地位を占めています。その版画の魅力、特異性、絵画としての完成度の高さはあのモネやドガそしてゴッホなどヨーロッパの多くの画家に影響を与え、絵画の歴史を大きく変えることにもなりました。

 その歴史と伝統を持つ国の版画家として、そして北海道に暮らし創作に励む我々はいかにあるべきであろうか。今回“版・継承と刷新”をテーマに21世紀の版画とは何か、表現手段や媒体の多様化する中で版画の存在意義、その可能性を追求して行きたいと思います。

 展覧会では創立50年という歴史を自覚しつつ、更なる発展を求めて会員50余名の新作未発表作品を中心とした約250点余りの作品を展示致します。実験的作品や立体作品も含め版画の魅力と本会の存在意義をしっかりとアピールしたいと願うところであります。

北海道版画協会創立50周年記念展実行委員長
西村 一夫


北海道版画協会50周年によせて


 北海道版画協会が発足して今年で50年を迎えることになった。創立は1961年のことだったが、1959年からその胎動があったのだ。しかし周知のように、この会の前身として5 年前の1954年に結成された札幌版画協会があったから、この間を含めるとすでに55年もの歴史を刻んできたということになる。

 北海道の版画の歴史をたどれば、明治になってやっと開拓の記録などに関連して、銅版や石版などの版画技術が移植されてきたのだが、もっともこれらは、今日で言う版画ということにならない。版を媒介とする、いわゆる自画、自刻、自摺による創作としての版画、いわゆる創作版画が生まれたのはもっと後のことで、これは北海道大学予科の学生だった外山卯三郎が中心となって発刊し、1925年に誕生をみた文芸誌『さとぽろ』がその嚆矢となる。

 この時期、道展が誕生し、その第二回展以降、函館出身の前田政雄が木版を出品し、以後わずかながら出品数が増えているから、これらによって版画というジャンルが北海道にいくらか定着するようになったと言ってよいかもしれない。

 これが北海道の版画の第一のエポックだったとすれば、第二のそれは、やはり戦後の札幌版画協会の誕生と、その後の北海道版画協会の創立ということになるだろう。この前後に、戦中から白老に疎開していた川上生や、戦後1950年代から頻繁に北海道を訪れた北岡文雄がいたことは、北海道の若い版画家の結束にとってまさに幸いな巡り合わせであったろう。また道展のほかに全道展が新たに誕生し、上記の前田、川上、北岡らの有力版画家が会員となったことも、このエポックを後押ししたにちがいない。

 北海道版画協会の出発は、会長の戸坂太郎はじめ34名の作家たちによる。札幌版画協会時代から発行していた『道版ニュース』という会報があって、この第5号には「北海道版画協会の誕生を祝して」と題する前田政雄の文章が掲載されている。ここにこの会に寄せる喜びと期待がこう込められている。

 「従来の札幌版画協会が発展的に解消され、新たに道内版画家を一丸とし充実した北海道版画協会の誕生をみた事は、道産子の1人として双手をあげて万歳を叫び、その前途を祝福せずにはおれない。自由な立場を生かしての作家活動と版画の向上発展を、強力に推進する事を目的とするこの会の誕生は、只に道内作家の喜びだけでなく日本版画界の大きな喜びであると信じている」と。

 北海道版画協会のこれまでの歴史は、まさにこの前田政雄の期待に応える歴史であったのかもしれない。北海道版画展の開催、版画集の出版、技法の研究会、講習会などによる版画の啓蒙、道外版画家との交流などなど。これらは『道版ニュース』につぶさに掲載されていて、これを見るとそれぞれの活動の熱気と、会員の息吹が直に伝わってきてじつに興味深い。

 しかし半世紀も経過すれば、情況が大きく変化してくることはここで述べるまでもないだろう。これまで北海道版画協会に携わった作家は退会者や物故者を含めると、おそらく150名ほどにも達するにちがいない。また過去の版画ブームと言われた過熱気味の時期が過ぎて、ある意味でごく身近なジャンルになった。これもこの会の版画啓蒙の結果だろう。

 また一方で、版画のみならず美術そのものが大きく変貌していることは周知のことだ。しかし、こうした今日の表現に果敢に取り組んでいるこの会の出身者や会員も数多い。この意味で、50年を経過し、北海道版画協会は北海道の美術動向に確実にコミットしてきたし、またこれからも新たな歴史を刻んでいくにちがいない。「自由な立場を生かしての作家活動」と「版画の向上発展を強力に推進すること」。この自由で純粋な版画に懸ける思いこそが、この会を支え続けていくだろうから。

北海道立近代美術館学芸副館長
佐藤 友哉

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